4cm-4cm

Paper|紙

Image | イメージ

Material | 素材

歴史

紙の起源とされるパピルス(ナイル湖畔に生えていた草の名前)は茎を薄くそいで並べ、プレスした不織布のようなもので植物繊維を水中で散乱させて作る現在の紙の定義とは異なる。現在の紙の原型は紀元前2世紀頃の中国の「蔡倫」(さいりん)の発明とされている。日本に紙の製法が伝わったのは5世紀から7世紀頃とされ、貴重品であった紙も江戸時代に楮(こうぞ)や三椏(みつまた)などの皮を原料とした和紙が多く作られるようになると庶民にも広まった。浮世絵、障子、ふすま、和傘や提灯などの日常的な用品にも使われた。西洋から明治になって製紙技術が入ってくると和紙から木材繊維を原料とし、大量生産ができる洋紙への移行が始まる。それにより印刷産業も活発になる。以降、紙は記録媒体としてだけではなく様々な分野で使用されるようになってきた。現代ではデジタルな風潮を反映して「ペーパーレス」が進んでいる。森林保護の観点からケナフ等の非木材植物が注目されたりもした。(現在までに紙の原料として使われた非木材植物/アサ、カジノキ、ガンピ、コウゾ、マユミ、ミツマタ、竹、藁(わら)、亜麻、木綿、サトウキビ、マニラアサ、バナナ)

定義

「植物繊維その他の繊維を膠着させて製造されたもの」(JIS)と日本工業規格で定義されている。

和紙

国産の楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)などの樹皮の内側の靱皮(じんぴ)繊維を原料とした紙。靱皮繊維は広葉樹の繊維に比べて7〜8倍長く、流し漉き技法で作られ強さと柔らかと保存性の高さを持つ。機械漉きも現在は進んでいる。

楮(こうぞ)紙

繊維が他の原料に比べて太く長い為に強度に優れ、しなやかである。

<用途>版画、書画用紙、障子紙、和傘

<主な産地>奉書(主に福井)、杉原紙(兵庫)、西ノ内紙(茨城)、美濃紙(岐阜)、泉貨紙(愛媛)など

雁皮(がんぴ)紙

繊維は細く短いために緻密で緊密な紙。滑らかで、鳥の子色で独特の光沢がある。

<用途>写経用紙、手紙等

三椏(みつまた)紙

桃山時代後期から使用されたと考えられている。繊維は細く短く、薄く吸収性のある滑らかな紙である。細い字を書くには適している。三椏は栽培が可能であったために需要を伸ばす。以前の日本紙幣は三椏で作られ世界的にも上質な紙幣と知られた。現在はコスト面からほとんどがマニラ麻が使われている。

<用途>写経用紙、手紙等

<主な和紙>越前和紙、美濃紙、土佐和紙など

洋紙

木材(針葉樹、広葉樹)を原料とした繊維(パルプ)から作られた紙。生産性や均質性があるために新聞や印刷の用紙、包装紙等の多くのものに使用されている。現在生産されている紙はほとんどが洋紙である。パルプには化学処理で繊維を取り出した「化学パルプ」とすりつぶして繊維を取り出した「機械パルプ」、そして古紙から再生した「再生(古紙)パルプ」がある。再生パルプは紙の強度やしなやかさに欠け、数回の再生で繊維が弱くなるために使えなくなる。木材から取り出されたパルプは「フレッシュパルプ」と呼ばれる。針葉樹は繊維が太く長く、紙の力を増すのに適している。広葉樹は針葉樹に比べ繊維が細く短いために強度は高くないが、表面を平坦にするのに適している。製造過程で叩解(こうかい)という繊維をたたきつけ毛羽立たせる処理により繊維の密着性を高めたりもする。

非塗工紙

表面に塗料が施されていない紙。(但し、強度や書きやすさを出すためにデンプン等の薬品を塗布する場合がある。)用紙に含まれる化学パルプの配合量で上質紙、中性紙、下質紙に分類される。

<用途>上質紙(化学パルプ100%、書籍、教科書、一般印刷)、中質紙(化学パルプ100%〜40%、機械パルプ、書籍、教科書、文庫本、雑誌)、下質紙/更紙(化学パルプ40%以下、新聞紙、雑誌、電話帳)

塗工紙

上質紙や中性紙の表面に白色顔料を塗り、表面を滑らかに加工して光沢を出した紙。塗工量の多いものから、アート紙、コート紙、軽量コート、微塗工紙となる。

<用途>アート紙(カレンダー、高級美術印刷)、コート紙(ポスター、カタログ、カレンダー)、軽量コート(雑誌、チラシ)、微量工紙(チラシ)

特殊紙

<ファンシーペーパー>多彩な模様やエンボス加工や表面にテクスチャーをもたせたもの。

<用途>書籍の表紙、ノート、便箋、パンフレット、カード、化粧箱

<トレーシングペーパー>半透明用紙

板紙

<ダンボール>

機能紙

日本の伝統的な和紙の製法技術を利用して原料をパルプに限らず合成繊維や鉱物繊維、金属繊維を利用したもの。電気を通したり、燃えないなどの機能を持つ。

<用途>携帯電話の電解コンデンサ、バイオエレクトロニクス

合成紙

合成樹脂を主な原料とする。耐水性に優れ破れにくい。(用紙により、一度亀裂が入ると破損しやすい。)

<製品例>ユポ、ピーチコート、油面接着用タック

化粧板用原紙

家具等の表面に使用

<製品例>化粧板原紙、プリント化粧板原紙

気化性防錆紙

鉄、銀、銅などの金属の錆が発生するのを防ぐための紙。表面に防錆剤を塗ったものと製造工程でしみ込ませたものがある。

<製品例>KS-VCI

紙マルチ原紙

育苗用シート

<製品例>紙マルチ原紙

電気絶縁紙

電流が流れない状態を保つ為の紙

<製品例>コイル絶縁紙、メタライズドフィルム

グラシン紙/剥離紙原紙

グラシン紙は厳選されたパルプを使用し、食品、お菓子、医療品の包装にしようする半透明の紙。さらに透明度を高めた「グラファン」は封筒の宛名窓に使用される。剥離紙は表面に剥離加工を施したものである。

<製品例>KS-VCI

紙の形態(製品)

巻取り

規定の幅でつくられたロール状のもの。新聞等に使用。

平版

オフセット印刷等

サイズ

通常の紙のサイズは長方形である。縦横の長さをmmで表示するが。必ず横寸法を先に表示する。

横目(Y目)

紙の目の流れを縦軸にして横長の紙。(横/長い)mm×(縦/短い)mm

縦目(T目)

紙の目の流れを縦軸にして縦長の紙。(横/短い)mm×(縦/長い)mm

原紙寸法

紙の余白、裁断加工の余白を仕上げ寸法に加えた一回り大きな紙。原紙寸法(リンク)

表と裏

製造する機械の構造によって表と裏の差が生じる。現在では新技術で紙の表裏の状態に差がないものが多くなっている。

紙の目

抄紙機ではパルプを一定の方向に流すために紙の進行方向に繊維がそろう。これが「紙の目」である。巻取り(ロール)では紙の目は一定だが、平版では紙の裁断方向によって縦目、横目ができる。

紙の白さ

印刷用紙には蛍光増白剤が配合されているものがあり、光源によって差がでる場合がある。一般的に太陽光では蛍光増白剤が配合された紙の方が白く見える。青味がかった色調は白く感じられることから青味のある色調で白さを強調する(ブルーイング)手法も用いられている。

印刷における紙の適正

オフセット印刷

適度な吸水性と表面強度。通気性

グラビア印刷

平滑性と弾力性。温度、湿度変化の少ない寸法の安定性。

凸版印刷

比較的制約が少ない。


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